令和5年5月8日からの感染対策について

マスク着用3 830×510

新型コロナウイルス感染症が5類に移行します

以前から報道にあるとおり、新型コロナウイルス感染症の取り扱いが5類に変更になります。
これにより、今まで行ってきた感染対策や国からの支援が他の5類の感染症と同様になります。

そもそも5類感染症ってなに?

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)で定められた感染症で、今まで新型コロナウイルス感染症は「2類相当」でしたが、5月8日からは5類になります。
何が違うのか?ですが、医療機関としては国への報告義務が大きく変わります。2類のときは「とにかく見つけたら全部報告」だったのが「一部の医療機関で調べて、後でまとめて報告」に変わります。
感染の波が来た時を考えていただければわかると思いますが、毎週毎週患者数がとんでもない勢いで増えていき、あっという間に大きな病院の感染病棟は埋まってしまいました。つまり政府としては感染者数をできるだけリアルタイムで把握しておかないと対策が追いつかない=医療資源が行き渡らずに不幸な結果になる人が増える、と考えていたわけです。
5類になればリアルタイムでの感染者数把握は難しくなりますが、その分医療機関への負担が減ります。その分無駄な税金を使わなくて良くなる。というわけです。
感染症対策は人権侵害と表裏一体です。「感染したら家から出たらダメ」「濃厚接触者になったら仕事行っちゃダメ」ということは立派な人権侵害です。そのような規制も緩やかになります。
新型コロナウイルス感染症への対策は「感染しないこと」ではなく「一度にみんないっぺんに」感染しないこと、でした。5類になるということは「一度にみんないっぺんに」感染したとしても、入院できずに不幸な結末を迎えたりするほど広がる可能性が低いと国が判断したということです。

ところで、感染症って新型コロナ感染症だけではないですよね?

「不幸中の幸い」と言いますが、このパンデミックで感染症対策は飛躍的に進歩しました。
「エアロゾル感染」という考え方は2020年に初めて登場しました。初期の新型コロナウイルス感染症の感染経路を追って行ったところ、換気の悪い屋内で感染者からちょっと離れたところの人が感染している例がみつかったのです。それから屋内では換気が重要ということになりました。

実はマスクはコロナ前はそれほど感染対策に重要ではないと考えられていました。マスクをしていても(マスクをしている人が)感染する確率は低くならなかったからです。それが集団全員がマスクをする「ユニバーサルマスク」という考え方になって、コロナウイルスの様な感染症に対しては有効であるとなりました。
考えてみたら当たり前の話で、感染者の「つば」にウイルスが多く含まれているわけですから、感染している人がマスクしていなければ、周りの人がいくらマスクをしていても「つば」はあびてしまいます。
「つば」で広がる感染症は新型コロナウイルスだけではありません。当然「旧型」コロナウイルスもそうですし、インフルエンザウイルスもそうです。それらの感染症もパンデミックの間は抑えることができました。マスクにはこれらの感染症を抑える力もあったということです。

そうはいってもマスクは苦しいです。

このブログは仕事終わりにカフェで書いています。周りではマスクをせずにしゃべっているお客さんもいらっしゃいますが、1m以上離れています。ここのカフェの換気は以前CO2モニターで計測したところほぼ満員でも基準範囲内です。このような環境で私がマスクをする必要はありませんので、息苦しければはずしています。屋外を歩く時にもマスクはしていません。
診察をしている時は当然ですがずっとつけています。マスクが古くなってくると「こし」がなくなってきて息を吸う時に口にはりついて息苦しくなりますが、パッドを入れてからは改善されました。それでも一日中しゃべっていると苦しくなることもあります。
喫煙者はそれでも呼吸が苦しいかもしれませんね。あと、メガネをしているとメガネが曇ってしまうかもしれません。

医療機関って、基本的に行きたくないところです

中には「膝が痛くなった、以前から変わった名前なので受診したいと思っていた」といって受診してくださる患者さんがいらっしゃいますが(ありがとうございます)、基本的に医療機関は「いやいやながら」「しょうがなく」かかるところだと思います。
ただでさえ体が不調な時に、「クリニックが混雑していて風邪をひいてしまった」となっては泣きっ面に蜂です。ですのでちょっと慎重に感染対策を行なっていってちょうどいいぐらいだと思います。

いつまでマスクが必要でしょうか?

おそらく今後は医療機関でのマスク着用はずっと推奨されると思います。先ほども書いたように、医療機関にみなさんが受診する目的が病気を改善することである以上、わざわざ病気になるリスクを上げるメリットがないからです。
もちろん、医療機関の中にはマスク着用を義務付けないところもあると思いますので、どうしてもマスクを着用したくない場合はそちらの医療機関を受診していただければと思います。幸いなことに日本では診療をうける自由が保障されています。

ゴーグル、メガネは任意にします

2020年ごろにメガネをしている人の感染率が低いという論文が出ていました、医師会のガイドラインでも目の防護を推奨していましたが、その後(集団の全員がほとんどマスクをしている状況では)あまり効果がないことがわかってきましたので、ゴーグル、メガネは任意にします。

手洗いは続けます

クリニック入館時、退出時に石鹸での手洗いをお願いします。
エタノール消毒ではなくなぜ石鹸での手洗いか?なのですが、手についているウイルス量の比較をした論文を読むと、どちらも「手についた汚れなどを石鹸でしっかりと落とした状態」から実験が始まっているからです。ゴミやホコリで汚れた手にいくらエタノールで消毒しても効果は限定的であるということです。受付開始直後などで手洗い場が混雑するとは思いますが、しっかりと石鹸をつけての手洗いをお願いします。

新型コロナ感染症に感染したことが分かった場合

症状があり、検査にて新型コロナ感染症にかかったことが判明した場合、発症日を0日目として10日目よりご利用いただくようにお願いします。
厳しいとは思いますが、人工透析を受けられたり関節リウマチによる免疫抑制剤を使用されているなど、コロナ感染で重篤化するリスクが高い患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんにも安心してお使いいただけるようにご理解のほどよろしくお願いします。

換気は続けます

屋内の二酸化炭素濃度が1000ppm以下になる様に換気を引き続き行います。
今まで計測してきて分かったのは、受付・待合が基準を超えることはありません。リハビリ室が超えることが多いです。雨の日など、換気が十分に行えない場合は受付人数を制限させていただく場合がありますので、ご了承ください。

結局ほとんど変わりませんね

今回の変更はあくまでも政府が決めた感染症の扱い方が変わりましたということなので、感染対策を全くしなくてよくなるわけではありません。「感染が拡大したとしても医療資源が枯渇して助かる命が助からない状況が生じる可能性が極めて低くなった」ということです。
ただ、それまでなんとなくやってきた「なんちゃって感染対策」はどんどん淘汰されていくと思います。飲食店のテーブルのど真ん中に置かれているパーティションや入口での検温はなくなるでしょう。「空間除菌」をうたったネックレスやシールなんかはあっという間になくなりましたね。
「トイレを流す時は蓋をしめて」「ハンドドライヤーは使用禁止」というのもそういえばありましたけど、ちゃんと根拠を調べていけば意味のないコロナ対策であったとすぐにわかるのですが、なかなかしっかりと根拠を調べるには時間と手間がかかります。
会計や受付のパーティションは飛沫感染防止の一定の効果が認められるので残っていくかもしれません。マスク着用が任意になればなるほど受付のパーティションは意味を持ってくると思います。
日常生活が戻るのはいいことですが、完全にコロナ前に戻ることはないでしょう。。。物価だけはなんとか戻ってくれないかなと思います。

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