変形性膝関節症はありふれた疾患で、悩まれている患者さんも多いです。
変形性膝関節症の患者さんから外来でよく聞かれる質問についてまとめてみました。
変形性膝関節症のブログも別に書いています。よろしければ参考にしてください。
注意事項
わかりやすくするために一部意図的に医学的に不正確な書き方をしている部分もあります。ご了承ください。
Q.飲むヒアルロン酸は膝の痛みに効きますか?
A.効きません。
Q.コンドロイチンの健康食品は膝の痛みに効きますか?
A.効きません。
Q.チラシでみた装具をはめてるのですが効果ありますか?
A.装具は運動時のサポートになりますが、ずっとつけていても治るものではありません。必要なトレーニングを行なってください。
Q.膝の筋力をつけるためには歩けばいいんですか?
A.膝の炎症がある状態で歩いては逆効果です。当院で指導された体操を地道に行ってください。必要な筋力がつき、炎症がおさまるまでは控えてください。
Q.膝の痛みがとれました。通院も終わりにしたいのですが
A.変形性膝関節症の原因の多くは日常生活で膝関節に対する負担が大きいことです。多くの場合は関節内の炎症が改善すれば痛みは楽になることが多いですが、負担を軽減するためのトレーニングを行っていかないと悪化していきます。一度変形してしまうと元には戻らないので痛みが取れたからといって油断せず、膝を守るためのトレーニングを身につけて実践してください。
Q.痛み止めや湿布をください
A.痛みは人間が生きていくために必要な大事な感覚です。
痛みが出る動きをすると生存に不利益があると体が判断したときに痛みが出ます。痛み止めはその感覚を鈍らせるわけです。「安静にしていてもうずいて眠れない」といった場合は無理せず使っていただいて結構ですが、「今から仕事だから痛みを止めて仕事をしたい」時に痛み止めを使うのは症状を長引かせたり、かえって悪化させる可能性があることを十分ご理解した上でお使い頂ければと思います。
当院では最小限の量しか処方しません。ご理解のほどよろしくお願いします。
Q.腫れがなかなか引きません。関節リウマチではないでしょうか?
A.その可能性は否定できません。現在当院では関節リウマチは「2010年米国リウマチ学会/ヨーロッパリウマチ学会による関節リウマチの分類基準」に基づいて分類(関節リウマチは診断と言わずに分類といいます)を行っています。分類には血液検査が必要になりますので、ご希望があれば血液検査を行いますし、6週間以上関節水腫が改善しない場合は検査をお願いしています。
Q.MRI検査はしたほうがいいですか?
A.経過が長い場合、膝関節の可動域が悪い場合(特にまっすぐ伸ばせない場合)、靭帯断裂を疑う場合、骨折の疑いがある場合、骨壊死を疑う場合等は検査をお勧めしています。
MRI検査を行った方が良い時というのは、行うことによりより、良い治療法を選択できたり、より納得できる説明が可能になる場合ということになります。
Q.トレーニングはしたくありません。なにか他の方法はないですか?
A.勉強不足で申し訳ありません、私の知りうる限り知りません。ご希望があれば膝(関節)専門医にご紹介します。なにか良い治療法をご存知かもしれません。
Q.体重を減らしてくださいと言われますが、なかなか痩せません。なにか良い方法はないでしょうか?
A.毎日何を食べているか食べているものが何カロリーなのか、記録はつけられていますでしょうか?まずは1週間ほど記録をつけていただいて相談いただければと思います。
Q.足底板(インソール)は効果がありますか?
A.患者さんによっては適応があります。ご相談ください。
Q.膝の水はぬいたほうがいいですか?
A.痛みの原因が膝に水が溜まっていることであれば抜くことによって症状が軽くなります。じっとしていてうずいたり、立ち上がる時に痛みが出たり、深く曲げると張った感じがするのであれば症状が改善する場合があります。抜くときは針がどうしても太くなり痛くなるのでメリットデメリット考えて行いましょう。診断目的で抜く以外はご本人の判断に任せています。
Q.膝の水を抜いたらクセになるとききました
A.なぜ水がたまるのかが問題です。水が溜まる原因を考え、原因に対処しないと水は溜まり続けます。クセになるという話は私は聞いたことがありません。
Q.リハビリすれば手術はしなくても良いですか?
A.リハビリでどこまで改善するのかはわかりませんが、他の良い方法は知りません。手術を希望されないのであればリハビリをやっていくしかないと思います。
Q.手術はしたくありません
A.こちらとしても嫌がらせで手術を勧めているわけではありません。日々勉強し、患者さんの人生が良いものになるにはどうすれば良いか日々考えた上で、治療法をお勧めしております。
私ができることは幸せな人生を送るためにはどうすれば良いかを提案をすることですので、その中でご自身が良いと思う治療法を選択していただければ結構です。
すぐに手術をする気はないかもしれませんが、実際にどのような手術をするのか実際に手術をされる先生のお話を聞いてみるのもいいかもしれません。ご希望があれば紹介状を作成します。
ただ、膝の痛みによりご家族に迷惑をかけている場合はご家族とよく話し合っていただきたいと思います。