9月20日からコロナワクチン接種が始まります。
今回は生後6か月以上のすべての人が対象です。
今年春に行われた接種は「重症化のハイリスクの人」が対象でした。今回は「生後6か月以上のすべての人」が対象です。政府としては「なるべくたくさんの人に接種してほしい」わけです。
なぜ今回は対象が拡大したか?
理由はいくつかあります。
- いままでのワクチンが効きにくい変異株(XBB株)が主流になってきた
- 呼吸器感染症が増える冬季にむけてなるべく感染者を増やしたくない
- 治療薬の公費負担が9月末からなくなる
- そもそもワクチン接種して4か月以上経過すると感染予防効果、重症化予防効果は下がってくる
一つずつ説明しますね。
今までのワクチンが効きにくい変異株が主流になってきた
ウイルスには変装が得意なウイルスと変装しないウイルスがいます。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは変装が得意なウイルスです。
変装が得意なウイルスは、体の免疫能力から見つからないように常に変装をしていきます。ワクチンを接種してせっかく体の中の免疫細胞にコロナウイルスの「面構え」を覚えてもらっても、変装されたら見つけにくくなりますね?そのせいでせっかくうったワクチンの効果が下がってしまいます。
今回接種するワクチンはオミクロンXBB型という、現在流行しているタイプの「面構え」を覚えてもらうためのワクチンです。
呼吸器感染症が増える冬季にむけてなるべく感染者を増やしたくない
のどや肺などに感染する感染症を呼吸器感染症といいますが、気温が下がる冬季に流行しやすいです。冬季はコロナウイルス感染症以外の呼吸器感染症の患者さんが増えます。重症者が増えることによる医療切迫を抑えたいわけです。
治療薬の公費負担が9月末からなくなります
9月末までは新型コロナ感染症の薬剤費は自己負担分を公費でまかなっています。検査代などは5類に移行した時にすでに自己負担になりましたね。
どのくらいの費用負担になるかというと、例えば「ゾコーバ」だと1回あたり51,850円します。3割負担でしたら15,555円(!)ですね。注射の薬だとさらにかかります。
なので「ワクチン接種しておいたほうが万が一の時お得ですよ」というわけです。ワクチン接種をしておけば、感染したとしても症状をかなり抑えることができます。
若くて健康で基礎疾患がない人の場合それほどコロナ治療薬を必要とするほどの症状にはならないかと思いますが、使うとなったらそれなりの出費は覚悟しておいたほうがよさそうです。
そもそもワクチン接種して4か月以上経過すると感染予防効果、重症化予防効果は下がってくる
厚生労働省の「新型コロナワクチンQ&A」によると、ファイザー社の従来ワクチンでは2回目接種後2か月から4か月時点での発症予防効果は90.1%であったところ、4か月から6か月時点での発症予防効果は83.7%との報告があり、モデルナ社の従来ワクチンでは、2回目接種後2か月から4か月時点での発症予防効果は94.0%であったところ、4か月から6か月時点での発症予防効果は92.4%との報告があります。
しかも、、接種完了から半年以降で重症例の発生率に上昇傾向が見られたという報告もあるため、半年以上接種していない人は接種をうけたほうが良いと思われます。
結論
副反応で接種した直後はつらいと思いますが、私は接種したほうがいいと思っています。
色んな意味でコロナは「単なる風邪」に近いのですが、他の風邪と比べると後遺症が比較的長く続きやすいですし、症状としてもつらくなりやすいです。ちょっと古いですが広島県がまとめたコロナ感染症の後遺症のデータはこちら
私のなかで最も恐れている後遺症のは集中力の低下です。5人に1人にこの症状がでるのはかなりの確率と考えています。ワクチン接種により後遺症の頻度や症状を軽減することができます。
確かにワクチン接種後は熱が出たり倦怠感がでますが日程調整すれば仕事に支障は出ません。「予約して風邪をひける」と思えばこれもメリットの一つです。
「自然感染で免疫をつければ良い」という考えは残念ながら間違っています。複数回感染すると後遺症の頻度もあがりますし、自然感染ではワクチン接種よりも抗体ができません(発症や重症化予防効果は自然感染のほうが弱いです)。
ご自身、もしくはお知り合いで感染されたかたも多いと思います。私の家でも私以外の家族はすでに感染しており、私もいつ感染するかわからない状態です。多くの場合は本当に「ちょっと喉が痛い」「咳が続く」で済むと思いますが、症状が重くなるか後遺症が長引くかは運です。もちろん最終的にワクチン接種を行うかどうかは「個人の判断」になりますが、ご自身が後遺症で苦しまないためにも、周りの人に迷惑をかけないためにもワクチン接種をお勧めします。