ひざは痛くないですか?
タイトルは腰痛なのに、なぜひざが痛いか尋ねるかというと、ひざがちゃんと使えるかどうかで日常の腰痛はかなり変わってきます。
腰痛が生じる原因はいくつかありますが、典型的な動作の一つが、重たいものを持ち上げたり床に落ちているものを拾い上げる動作です。このような動作をするときに膝を深く曲げ、お尻を落とすことが重要になってきます。
ところが人間とはよくできているもので、痛みが出る動作を無意識にかばうことがあります。
「ひざを深く曲げると痛くなる」と本人が自覚していなくても無意識のうちに「これ以上曲げると膝が痛くなる」以上に曲げれなくなります。関節は普段使っていないと、特に年齢が上がっていくにつれて拘縮(こうしゅく)といって関節の動く範囲が狭くなっていきます。いざ曲げようと思っても関節周囲の筋肉や靭帯が硬くなることにより、よりいっそう動かすことが困難になっていきます。
拘縮までいかなくとも、日常的に膝を曲げていないといざ曲げようとしても筋力が落ちてしまい、立ちあがろうとしても立ち上がる筋力がなくなってしまっていたりします。
膝を曲げないとどうしても股関節や腰を深く曲げないと動作の目的をはたせなくなります。骨粗しょう症などで骨が脆くなっている場合は、前かがみの動作をするだけで腰の骨が折れてしまうこともあります。「おしりをしっかりとしたに落とす」ことを意識してみてください。
座っている時間が長くないですか?
腰痛が悪化するパターンは大きくわけて2パターンあり、前述のように前屈みのなど動いているときに痛くなるパターンと、寝ていたり座っていたりするときに痛くなるパターンがあります。
「長時間パソコンの前に座っていると腰が痛くなる」
「長時間の運転していると腰が痛くなる」
「朝起きたときに腰が痛くて起き上がれない」
などの症状の時は、仙腸関節炎かもしれません。
これははっきりとした論文が出ていないので私に臨床での経験によるものになってしまいますが、仙腸関節炎になりやすいタイプの人がいます。具体的には
- 長時間座っている仕事をしている人(運転手・事務職など)
- 股関節の動きが硬い人
- 運動する習慣がない人
です。
仙腸関節炎はMRIでははっきりとわかりません(当然レントゲン検査だけではわかりません)。画像診断ではわからないのが特徴です。したがって、今後新しい検査方法が開発されたときには「実はこんなことが原因でした!」となるかもしれませんね。
現時点で診断には仙腸関節へのブロック注射が著効するかどうか、およびMRIを含めた画像診断でほかの疾患が除外できるかどうか、になります。
注射がどうしてもいやというのでしたらこちらも強制できませんので無理に注射はしませんが、ほんとによく効くのでお勧めです。
画像診断でほかの疾患がないことが条件の一つになっていますが、ここがやっかいで実は腰椎MRIを撮影すると無症状でも椎間板が痛んでいることはよくあります。私も傷んでいる椎間板がありますが腰痛はありません。
無症候性の椎間板変性があるとちょっと診断に苦労します。症状が典型的ではなかったりするとどっちが原因がわからないのでブロック注射しようか迷ってしまいます。
そんなこんなで仙腸関節炎と診断がつけば、あとはリハビリをやっていくことになります。テニスボールを使ったダイレクトストレッチが効果的なので、当院では積極的に教えています。
ただ、いろいろとがんばっても1か月から1か月半は痛みが続きます。痛み止めや前述のブロック注射を併用しながら経過を見ていくことになります。
いずれにしてもドローイン(腹式呼吸)が基本です
腰痛には様々な原因がありますが、いずれも基本はドローインです。
体幹筋力を鍛える一番ベーシックな方法であり、覚えてしまえばいつでもどこでも腰痛の予防ができます(だって息するだけですから!)。こちらのブログでドローインの動画をアップしていますので参考にしてください。
残念ながらYouTubeの動画を見ただけでドローインがちゃんとできる人はほとんどいません。いつも例えで出しますが、野球やってる高校生が動画見ただけでホームラン打てるはずないですよね?個人個人でやりかたにクセがありますが、YouTubeの動画はあなたのクセを指摘はしてくれませんし、いちいち「よくある悪いクセ」を全部解説しているような動画はあなたは見ないと思います。動画である程度のことを勉強したら、療法士さんと一緒に確認しながら少しずつ覚えていきましょう。
また、腰痛の原因によって、ちょっとした日常生活でのコツで痛みが抑えられることがあります。個別に対応しますので、運動器リハビリを行う際は療法士さんに「こんな時に痛くなる」等、伝えていただければと思います。